ニュースを見ると連日のようにM&Aが盛んに行われています。
事業を継続できなくなり、泣く泣く同業に売るというネガティブなM&A。
またお互いの得意分野を組み合わせることで、さらなるシナジー効果が見込めるポジティブなM&A。
こういったM&Aは今後もどんどんさかんになってくると思いますが、ここではM&A後の株価の計算についてまとめたいと思います。
M&Aは結婚に例えるとわかりやすい
M&Aは結婚するという例えをされているところもありますが、非常にわかりやすいと思います。男性個人の価値と、女性個人の価値が結婚ということで一つの「家族」になります。
その事により、今までできなかった喜びを共有できたり、新しい家族ができるなど、一人では出来なかった価値が創出されるわけです。企業同士の結婚であるM&Aをする場合は、お互いが好きだから結婚しよう(M&A)とはカンタンには行きません。
そこには、お互いの価値を計算して価値を統合するための綿密な計算が必要です。
A:売上50億円 利益5億円
B:売上70億円 利益4億円
さまざまなパターンがあるとは思いますが、ここでは共通する価値計算に基づき交換比率を決めていきます。
例えば
「A社の株価1に対してB社の株価1.2倍」
のようなイメージです。
EBITDA倍率法で決める
企業価値の計算方法がたくさんありますが、ここではわかりやすくEBITDAについてご説明します。
EBITDAは、財務分析上の概念の一つ。税引前利益に、特別損益、支払利息、および減価償却費を加算した値である。
(wikipediaより)
つまり、利益が重要と言われていますが、その利益には、全く関係のない特別損失や減価償却、支払利息が組み込まれているわけなので、性格ではないですよね。
利益はあくまでも税金を払うための計算であって、企業価値を算出するには正しくありません。
そのために、利益に不要に引かれてしまった、
・特別損益
・支払利息
・減価償却費
を足せばいいのです。
そうすると、単純にこの企業の「利益」が見えてきますね。
これをEBITDAといいます。
「EBITDA」の読み方は、「イービットディーエー」、「イービッタ」、「イービットダー」、「エビータ」、「エビティーダ」などが用いられ、一つには定まっていない。
(wikipediaより)
このEBITDAを基準にマルチプルの数字をかけて「企業価値」を算出します。
*マルチプルに関してはここでは省略します。
その企業価値に非事業用資産をプラスします。
非事業用資産とは事業に直接関係のない、不動産や株のことです。企業価値+非事業用資産を合わたものに、「有利子負債等」差し引きます。有利子負債とは、借金のことです。利子をつけて返済しなければ行けない、お金のことです。
企業価値+非事業用資産から有利子負債を差し引くとそこに「株主価値」が出てきます。
双方の事業価値、株主価値、自我総額を計算すると株価倍率というものが計算されます。
M&A後のシナジーが魅力的であれば買い
M&Aでの事業シナジーというのは、あくまでも類似の企業と比較したり、過去のデータを元にして算出しています。しかし、本当のシナジーの価値は数字では出せません。
A社とB社がM&Aをして想像もできなかったような、シナジー効果があらわれるのなら、
その株は「買い」です。
しかし、M&Aのニュースの中には効果がほとんどないM&Aもあります。何かしらのIRを出して、既存株主にお伺いを立てるためだけに、M&Aをして、なんとなく魅力をつけているけど、実際にはなんのシナジーもないというものです。
そういった株価はほぼ変わらない場合もありますし、期待はずれて下落することもあります。M&Aは今後も株価に大きなインパクトを与える一つではありますが、内容をしっかり見ないと資産価値が大きく増えたり減ったりします。
M&Aしたあとのシナジー効果を読み取ることができれば、新規でIPOで上場する銘柄を見つけるよりも、エキサイティングな株を見つけられる可能性が出てきます。
M&Aは難しい計算もありますが、ぜひいろんなパターンを検証してみて下さい。